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はじめに

提供: アナログ回路研究資料
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基本的にはディスクリート回路のみ

このメモは基本的にディスクリート回路、即ち、トランジスタやFET、抵抗、コンデンサ、コイル等の単機能な単体部品を組み合わせて、欲している機能や性能を発揮する回路を自前で組むための知識や技術、ちょっとした小ネタを、管理人が片っ端から溜め込むためのものである。もしICを使うとしてもオペアンプやカウンタ程度であろう。

これは、進歩・発展が著しく半導体ベンダ各社間の競争が異常に厳しいこの界隈で、アマチュアの趣味者が今後も長期間に渡り入手可能なICがオペアンプとカウンタ以外にほぼ無いことに依る。

かつて管理人が小学生から高校生だった頃、例えば「ラジオを自作しよう!」と巷のパーツ屋に行けば、高周波増幅→(周波数変換→)検波までやってくれるラジオ受信専用IC(例えばミツミのLMF501T、三洋のLA1050やLA1600)や、300mW〜1W程度の比較的小出力な低周波電力増幅専用IC(例えば東芝のTA7368P)が様々な国内半導体ベンダ各社から発売されていて、あとは適当なアンテナとスピーカ、電源回路かその代替となる電池を繋げば概ね完成したものだが、現在はこのような専用ICは流通在庫以外ほぼ売られてない。これら専用ICの多くが、かつては様々な家電メーカから発売されていたものの現在ではほぼ絶滅したラジカセ向けに開発されていたという事情から、生産すべき需要が無くなった(現在売られているプレーヤは再生するメディアも含め全てディジタル信号のため、低周波電力増幅部はディジタル信号のままスイッチング回路で電力増幅、ラジオ部も受信後にディジタル信号化してDSPで処理している)うえ、それら専用ICを作っていた国内ベンダが半導体事業を止めているということもある。

従って、現在のアマチュアな趣味者が好き好んでこれらを自作しようとすると、単体部品を組み合わせたディスクリート回路で設計することになる。上述のような専用ICをパーツ屋やジャンク屋を巡って探し回っても良いが、徒労に終わるか高価で摑まされることが多く、それぞれの回路の動作や本質を理解できないためツマラナイと、頭の悪い管理人は考えている。もしICで回路を組めば、その回路の性能はICが持つもの以下に縛られるが、ディスクリートで組めば、その回路の性能はハッキリ言えば回路設計者の腕如何でどうにでも上げ下げされる。少ない部品で高性能を目指すのか、省消費電力を狙うのか、巷では売られてないような機能を実装するのか…これが面白いところだと考えている。

以上のような管理人の思考/嗜好/志向から、アナログ回路を研究することを主旨とするこのWebサイトでは、パーツ屋やジャンク屋で発掘したり偶々手許にあるICが稀に出て来る程度で、基本的にはディスクリート回路のみを取り扱う。所詮は趣味なので、結果的に回路の規模が大きくなることにも躊躇しない。

シリコンとゲルマニウム

現在製造・販売されている半導体は圧倒的にシリコン製だが、トランジスタが発明された当初は殆どがゲルマニウム製だった。半導体=ゲルマニウムだった発明当初、発明国のアメリカはもちろん、第二次大戦敗戦直後の日本でも「希少物質であるゲルマニウムをどう確保するか」を国策で考えていたほどだが、やがて、地球を構成する物質としてどこにでもあるシリコンに取って代わられたため、ゲルマニウムダイオードは現在でも生産されているものの、ゲルマニウムトランジスタが新規に生産されることは殆ど無い(軍用など特殊用途向けに生産されているようだが、市場にはあまり出回らない)。

が、ゲルマニウムトランジスタにはシリコントランジスタには無い良さ(「電圧降下が少ない」「バンドギャップが狭い」「故に消費電力が少ない」等)もあり、また、かつて生産されていたゲルマニウムトランジスタが若干ではあるものの流通在庫として主にジャンク屋に少数出回ることがあるため、見つけたときは買い集めるようにしている。

嘘か実か、同様の趣味人に言わせると『トランジスタラジオを組むならゲルマニウムに限る! 音がまったく違う!』らしいが、上述のとおりゲルマニウムトランジスタはシリコントランジスタと較べて電圧降下が少なく、熱に弱く、温度補償がシビアなため、シリコントランジスタと同じ回路パラメタ設定が使えない。それを確かめる意味もあり、可能な範囲で、シリコントランジスタとゲルマニウムトランジスタで回路パラメタ設定方法を場合分けしたいと思う。

ちなみに日本国内の半導体ベンダでは1970年代いっぱいまででゲルマニウムトランジスタの生産を終えている(東芝は1976年7月での生産終了を明言している)ため、流通在庫として出回っているゲルマニウムトランジスタは少なくとも製造から30年以上経過していることになる。海外ではロシアをはじめとする旧東欧諸国で軍用(戦車へ搭載される無線機向けに作られていたらしい)に1990年代初頭までゲルマニウムトランジスタが生産されていたことから、様々な品種が良好なデッドストック品として大量に安価で入手可能なものの、それでも製造から凡そ20年経過しており、同梱されているデータシートがロシア語で書かれているため、仕様の読解に時間を要する。

なお、管理人の経験では、国内のジャンク屋で国内製ゲルマニウムトランジスタを買って、いざ使おうとテスタで導通試験やhFE計測などをしてみると、半分以上でhFEがゼロだったり、そもそも導通しなかったりと、トランジスタとして機能せず死んでいたことが多々あるので、そういったものを摑まされないためにも日々ジャンク屋に通って鑑識眼(?)を養う必要があることを警告せねばならない。ジャンク屋の鉄則だが、ジャンク屋で売ってるものはジャンク品=動作保証が一切無いので、たとえ不良品を摑まされてもそれを理由に返品や返金を要求できない。ジャンク屋を利用することと、ジャンク屋で買った品物を使うことは、まさに「自己責任」の世界である。

SMD(表面実装部品)化の波

最終的な製品を小型にするには、実装する部品も薄く小さくすることが必須である。この要請に半導体を含む部品ベンダは、製造する部品をSMD(Surface Mount Device)化している。具体的には、部品をピンセットでなければ摘めないぐらいに限りなく薄く小さくし、半田付けするためのリード線を無くします。この流れは、工業的/商業的には正解だが、趣味で使う者にとっては不正解となる場合が多い。手作業では何しろ扱い難く半田付けすら儘ならないからだ。

これは即ち、パーツ屋やジャンク屋で買える部品も、半導体だけではなくコンデンサや抵抗も含め、やがては全てSMD化されたものになることを意味している。現に国内半導体ベンダはSMD化を進めており、それまでは同じスペックの半導体で非SMDとSMDのものを両方製造していたものの、現在は非SMDのものはほぼ全て製造を中止しており、秋葉原の店舗やネット通販の在庫もそれを反映しています。

故に、趣味で使う場合は、今のうちにSMD化されていない部品を多少は抱え込まねばならないと思われる。特にジャンク屋は仕入れた部品を売り切った後に同じ部品を再度販売することがほぼ無いので要注意である。